汎用人型求婚兵器三十路
2012年春。ファーストインパクト。
人生最初で最後だと思う。10文字以内であれだけ気持ちを素直に伝える事ができるのは。
「助けて…下さい。」
何かしらにノミネートされてたら何かしらを総なめにしてたはず。
ガチで死にかけるとほんとに記憶が断片的に残るみたいよ。
海外ドラマとかで見る、瞼閉じるたびに一瞬一瞬画面が切り替わるあれね。
薄れゆく意識の中でおれが「ヤダー!ドラマみた~いっ!って言っていたとかいないとか。」
と、救急隊員が語っていたとかいないとか。
5日間意識なかったらしいんで三途の川3往復はしたんじゃないかな。よかった海育ちで。
親のいとこのよく一緒に飲んでるじじぃがいるんだが、5日間の眠りから覚めたと聞いて飛んできてくれたんですよ。利き手を失い、火傷だらけのおれにかけた第一声が、
「あっちの世界で何か見えたか!?」
ですからね。まずそこなの?
世界〇みえ的要素が先行するの?
じじぃが逝きかけたら
「見えるの?なんか見える?ねぇ!」
って揺さぶり続けてあげることにします。
詳しくは知らんけど、ICU(集中治療室)にも滞在期限的なもんがあるらしくて、満期(おれのいた病院では2か月)過ごしたんですよ。火傷の治療ってのは数あるケガの中でもトップクラスに痛みが強いらしいんだけど、はっきりいって死ぬよりつらい。5日間死んでたおれが言うんだから間違いない。
そのICU生活で一番つらかったのはやっぱりあれ。
看護師さん。
なんなの?なんであんなに綺麗な人や可愛い人たくさんいたの?
オプションなの?じじぃの優しさでオプションついてたの?
今週末いい酒持って飲みに誘います。
中でもタイプだった人でお世話してくれていた看護師さんがいるんです。
病室の前通るときに笑顔で手振ってくれるんです。
可愛いんです。
番号聞いたんです。
フラれたんdeath。
みんなには絶対秘密やけんね!
いや待って。
むしろ伝えて。勇気だけは讃えて。
全身の表皮よりも多くの面積に包帯巻かれてオムツで過ごし、もちろん髪も髭も鼻毛でさえも手入れされておらず、起き上がることも出来ないから下半身から射出されるエントリープラグも処理してもらった。
その状態で気持ちを伝えたんですよ。
シンクロ率0%でATフィールド素手で破りにいったよね。初号機も真っ青。
伝記にしてもらわんと割に合わん。死海文書に追記して。
あんな動物的状態男子と美女が引かれ合ったら万有引力の法則崩れる。
…何の話でしたっけ。とりあえずあれだ。
"人間に似てる"ぐらいの装備で美女に突撃する奴がいるならぼくもっ!
って世の男性陣の恋を後押しできたらなって。
フラれるもんはフラれるんですがね。
何だかんだ元気になり現世に這い出してきてアホなことばっか考えてるおれですが、記念すべき三十路の誕生日にフラれるっていうセカンドインパクトが起きるのはまた別のお話し。
話に付き合ってくれる人ができるまで続けれたら書いてみよかな。